1.まずは用途地域をチェックしましょう
用途地域とは、都市計画法の地域地区のひとつで、用途の混在を防ぐことを目的としている。住居、商業、工業など市街地の大枠としての土地利用を定めるものです。これは、以下のように13種類の地域があります。
第一種低層住居専用地域
第二種低層住居専用地域
第一種中高層住居専用地域
第二種中高層住居専用地域
第一種住居地域
第二種住居地域
準住居地域
田園住居地域
近隣商業地域
商業地域
準工業地域
工業地域
工業専用地域
この中で旅館ホテル・簡易宿所営業ができないのが、住居「専用」と付く地域と、工業地域・工業専用地域です。
まずは、許可取得を検討している物件が、これらの用途地域にあたらないかチェックしてください。
2.次に、トイレに手洗い設備が必要か?各階にトイレの設置が必要か?
次に、物件の間取り図や現地を確認して、①トイレが各階に付いているか、②トイレの中に手洗い設備があるかを見てください。
地域によって異なりますが、①②の両方が必要な場合があります。
工事をしてトイレや手洗いが設置できれば良いですが、それも不可能となると、許可取得ができなくなってしまいます。
例えば、目黒区では、①②の両方が必要です。
②手洗い設備とは、居酒屋によくあるような小さい洗面台の事です。
下の写真のようなトイレを想像してくださいね。
逆に①については、2階建て戸建てであっても1つあればOKという区もあります。
また、②についても、トイレの上についているロータンクという部分で手が洗えればOKという区もあります。
こういうトイレの上からちょろちょろ水が流れる部分ですね。
工事が必要となってしまうと、当初の資金計画より余分な費用が掛かってしまいますので、注意しましょう。
現地を確認すると共に、担当の役所にその地域のトイレの基準がどのようになっているか確認が必要です。
3.無人営業の場合、フロント代替設備として何が必要か?
マンションの一部屋や居住用の戸建てで旅館ホテル営業をお考えの場合、スペースや運営費の問題でフロントを設置して、フロントマンを置いてという事が難しいことが多いです。
その場合は、無人運営での許可取得を目指すことになると思いますが、これに対する決まりも地域ごとにバラバラで非常に分かりにくいです。
各地域に共通して必要になるものとしては、以下の4点があります。
①本人確認機器(タブレットやWeb接続可能なモニターフォン)
②防犯カメラ
③スマートロック
④緊急時の駆け付け体制
そして、特に問題になりやすいのが④緊急時の駆け付け体制です。
・物件へ何分以内で駆け付けられる必要があるのか
・その計測は車でもいいのか
・駆け付けを行う事務所も同じ区内になければいけないのか
・外部へ駆け付けを委託する場合には、その契約書を提出する必要があるのか
・駆け付け拠点にも立ち入り検査が必要か…などなど
このように、多くの点が地域によってバラバラです。
厳しい地域では、契約書の提出が求められ、その内容についても審査されます。
本当は、一般人同士の契約内容に役所が口を挟めるものではないと思うのですが…
この部分は、様々な提出書類が求められたり、予期せぬ事を言われたりします。
どこまで従わなければ許可が出ず、どこからは許可と関係ない役所の要望や指導なのか見極める力が必要です。
せっかく上記2点をクリアしても、この点で引っかからないように注意しましょう。
以上の3点がまずチェックしなければならない点です。
また、さらに注意が必要なのは、その地域独自の要件がある点です。
例えば、独立通路要件を設定している自治体があります。
これは、旅館ホテルと他の商業施設や居住施設が同じ建物内にある場合、旅館ホテルへはほかの施設の利用者とは別の通路で行くことができなければならないという要件です。
新宿区がこのような独自の要件を設けています。
このような場合、マンションや雑居ビル等の一室で許可を取ることは、難しくなります。
以上のように、旅館ホテル営業を取得するには、多くの要件をクリアする必要があります。
また、賃貸での開業を目指す場合、開業までの期間を短くしなければ余分な家賃が掛かってしまいます。
迅速かつ正確な手続きが求められるこの許可取得は、一般の方が片手間で行う事は避けた方が良いかと思います。
これらの要件について、詳細を確認したい場合も弊所で対応いたします。お気軽にご相談ください。