公正証書遺言がおすすめ!
遺言の方式には、一般的に以下の3種類があります。
①秘密証書遺言
②自筆証書遺言
③公正証書遺言
①の秘密証書遺言は、遺言者(遺産を遺す人)が遺言内容を誰にも知られたくない場合に使われるもので、一般的にはあまり利用されていません。
②の自筆証書遺言は、遺言の内容や署名をすべて自筆で書き、捺印する必要があります。
入院中や寝たきりの方の場合ですと、自筆証書遺言の作成が難しい場合も多いかと思います。
さらに、遺言者の死後は、家庭裁判所での検認をしなければなりません。
遺言書を自分たちで勝手に開封すると遺言書の効力がなくなる可能性があるのです。
そのため、親の体調が悪く入院してしまった場合等、今回のような場合におすすめするのは、③の公正証書遺言です。
「公正証書」とは、公証役場にいる公証人が作成・署名捺印する公文書です。
公正証書の形式で遺言書を作成するのが公正証書遺言で、安全性や信頼性の面で最も優れた方法といえます。
ちなみにこの他に「特別方式」といわれる作成方法もありますが、緊急時などに使われるものですので、ここでは触れません。
公正証書遺言の作成のしかた
公正証書遺言は、次の5つの要件を満たす必要があります。
①遺言の内容を確認する証人が二人以上立会うこと
②遺言者が遺言の趣旨を話して伝えること
③公証人が、遺言者の話した趣旨を筆記し、これを遺言者と証人に確認させること
④遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、印を押すこと。
⑤公証人が、書類が方式に従って作ったものである旨を付記して、これに署名捺印すること。
①の証人は、遺産を譲り受ける人のように利害関係のある人や、未成年者はなれません。
友人・知人に相続の内容を知られる事に対して抵抗がある方が多いかと思います。
遺言公正証書の文案作成をサポートしてくれる行政書士か、公証役場に依頼すれば安価で用意してくれます。
こうした手続きは、公証役場に出向いて行うのが原則です。
ただ、遺言者が入院中や寝たきりで公証役場へ行くことが難しい場合でも、同じ都道府県内の公証人が出張して対応してくれます。
公正証書遺言のメリット・デメリット
■メリット
①本人の自筆で作成する必要がなく、話ができれば作成できる。
②遺言書の紛失や改ざんのリスクがない。
③家庭裁判所での検認(偽造等を防止するための手続き)を経ずに執行できる。
■デメリット
①公正証書の作成に馴染みが薄く、難しそうに感じられる。
②費用がかかる。
このように公正証書遺言にもデメリットはありますが、書類作成や手続きはプロに依頼するのが確実。作成にかかわる公証人や行政書士は守秘義務があるので安心です。
遺産分割に関する訴訟は年々増加傾向にあり、遺産の額が1,000万円以下のケースがその3分の1を占めています。
「たいした遺産はないから大丈夫」と思っていても、訴訟にまで発展する可能性は十分にあります。
プロに依頼して確実な遺言書を作成しておくことが、相続トラブルを回避することにつながるといえるでしょう。
遺言書の作成についてお困りの方は、弊所までお気軽にご相談ください。