相続人の調査

相続を受ける人がご自身で手続できるように解説致します。

 

まず相続人を確定するためには、被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの戸籍謄本そろえる必要があります。

 

しかし、戸籍謄本は、誰でも取れるものではありません。

まずは、相続人(ご自身)の戸籍謄本を取得して下さい。

 

次に、その相続人(ご自身)の戸籍謄本で、被相続人との関係を示して、被相続人(亡くなった方)の戸籍謄本を取得して下さい。

本籍地が分からない場合には、亡くなった時に住んでいた市区町村で本籍地の記載のある住民票を取ってみて下さい。

 

この時、注意して頂きたいのは、改製原戸籍、略して原戸籍(はらこせき)まで取得するということです。

これは、コンピューター化以前の古い戸籍の事です。

 

この時取得した戸籍を確認すると、結婚の際に親の戸籍から出て現在の本籍地で新しい戸籍に移った等、以前には他の市区町村に本籍があったという場合があります。

この場合には、以前の本籍地で、その当時の戸籍を取る必要があります。

 

遠方の場合も多いですから、そのような場合には郵送で戸籍を請求しましょう。

郵送の場合は、①申請用紙、②定額小為替、③返信用封筒、④請求する人の身分証コピー⑤ご自身の戸籍謄本のコピーを同封して郵送します。

 

①申請用紙は、請求する市区町村のホームページからダウンロードできます。

②定額小為替は、戸籍1通450円、除籍・原戸籍1通750円です。

 ゆうちょ銀行窓口で購入することができます。

 手数料が小為替1枚につき100円かかります。

③返信用封筒にはご自身のお名前・住所を記載し、必要な分の切手を貼って下さい。

④請求する人の身分証コピーは、公的機関の発行する顔写真入りの身分証であれば1点で大丈夫です。顔写真が入っていない健康保険証等の場合は2点必要となります。

⑤ご自身の戸籍謄本のコピーでご自身と相続人の関係を示します。

 

このようにして、被相続人(亡くなった方)の出生まで遡って戸籍を取ります。

本籍地が転々としている場合には、上記の郵送請求を繰り返して下さい。

郵送請求には数日〜1週間程度の時間がかかります。

 

やっと、被相続人の戸籍がそろった!と思っても、これで終わりではありません。

今度は、ご自身以外の相続人の戸籍もそろえなければなりません

相続人が亡くなっていて、その子供が代襲相続人となる場合があるからです。

 

兄弟がそれぞれ結婚していて遠方に住んでいるような場合、これが結構大変です。

戸籍は、基本的には配偶者(妻・夫)や直系尊属(親・祖父母)、直系卑属(子供・孫)しかとれません。兄弟であっても勝手には取れないのです。

 

そのため、兄弟に戸籍を取ってもらうか、兄弟から委任状をもらってご自身で取るかしかありません。

ご兄弟が協力的であれば何も問題ありませんが、非協力的な場合はここで手続きが止まってしまいます。

 

行政書士は職務上請求といって、職務に必要な範囲であれば委任状がなくても戸籍を取得することができます。

ですので、その様な場合は当事務所へご相談下さい。

郵送での戸籍取得も可能ですので全国どこでもご相談に乗れます。

 

以上のようにして、被相続人の戸籍+相続人の戸籍がそろえば相続人の調査は終了となり、相続人を確定することができます。

相続財産の確定

基本的には、被相続人(亡くなった方)が死亡時に所有していた財産や権利が相続財産です。

 

借金等の負債がある場合、それも相続の対象となります。

その為、被相続人に借金がある場合には、相続人が返還する債務を負います。

従って、いわゆる貯金や不動産といった「財産」だけでなく、負債の調査も忘れないようにしてください。

 

 

・貯金等、金融資産の調査方法

 

まずは、被相続人(亡くなった方)のお財布等、貴重品を確認しましょう。

通帳やキャッシュカードが見つからない場合には、郵便物を確認することでご利用していた銀行等が分かる場合があります。

このように、銀行に貯金がありそうか見当をつけていきます。

被相続人がお持ちだった口座にいくら貯金があるかは、通帳の記帳をしたり残高照会をすることで明らかになります。

残高確認は必要な書類等が金融機関によって多少異なりますので、電話等で確認しましょう。

被相続人の死亡が分かる戸籍、相続人であることが分かる戸籍は最低限必要でしょう。また、相続人の印鑑証明が必要な金融機関もあります。

 

 

・不動産について

 

被相続人のご自宅が持ち家である場合等、被相続人が所有している不動産が明確な場合には、その不動産の存在する市町村役場で固定資産税評価証明書を取得しましょう。

 

持ち家の周りに田畑等を持っている事は分かるが、どこまでが被相続人の所有になっているか分からないような場合、つまり同じ市区町村内にいくつか不動産を持っている場合、被相続人が所有している事が明確な不動産に関する固定資産税評価証明書を取得する際に、「被相続人に課税されている不動産が他にもあれば、その不動産についての固定資産税評価証明書も下さい」と伝えてください。

これによって、同一市町村内にある被相続人の所有不動産が判明します。

 

他の市区町村にも不動産を所有していそうな場合には、郵便物の中に固定資産税の納税通知書がないか確認して下さい。また、収益物件をお持ちの場合には、不動産管理会社からの郵便物等によっても、所有不動産が判明します。

 

 

・負債の調査方法

 

こちらも、まずは貴重品の中にクレジットカード等がないか確認して下さい。

また、通帳の記載に毎月一定の金額が特定の第三者に引き落とされていないかも確認して下さい。

さらに、被相続人が第三者の連帯保証人になっている場合にも、基本的には連帯保証人の地位は相続人に相続されます。そのため、誰かの連帯保証人になっているかどうかの確認も重要です。しかし、これを確認するのは契約書を見つけるしかありません。

 

 

ここには基本的な事を書きましたので、書かれていない事や分からないことがありましたら、お気軽にご相談下さい。

相続関係でお悩みの人のお役に立てば幸いです。